
派遣期間中職員研修所兼務とし、研修場所(大学院)を勤務場所として取り扱われ、3ヵ月毎に研究の進行状況等の報告義務があり、研修終了後1ヵ月以内に修士論文の写しを提出しなけらばならない。研修生の入学検定料、入学金、授業料、赴任旅費等は都から負担されるが、卒業の日から2年以内に職員の身分を失ったときは、都が負担した経費を償還しなければならないとされている。派遣先の大学院には、前述の筑波大学大学院経営・政策科学研究科、埼玉大学大学院政策科学研究科の他、筑波大学環境科学研究科、東京大学大学院法学政治学研究科・経済学研究科がある。
また、川崎市においても、東京都と同様の目的で、1989年より大学院派遣研修制度が確立している。「川崎市職員大学院派遣研修要綱」によれば、派遣対象者は(1)大学を卒業した者又はそれと同等以上の学力を有すると認められる者(2)在職3年以上で年齢25歳以上35歳未満の者(3)勤務成績が優秀であり、かつ、心身ともに健康であること(4)所属長(周室区長)の推薦を受けた者(5)派遣期間終了後も引続き市職員として勤務する意志のある者という要件をみたしているものとされている。派遣者は、大学院で研究を予定している課題及び市政への貢献に関する論文についての書面審査及び面接により、選考委員会において選考され、筑波大学大学院経営・政策科学研究科、埼玉大学大学院政策科学研究科、東京大学大学院法学政治学研究科及び横浜国立大学大学院国際経済法学研究科のうちから総務局長の指示による大学院の入学試験に合格することにようて決定される。研修生は総務局所属職員として派遣され、東京都と同様に、入学金、授業料等は市の負担となるが、川崎市の場合は、研修期間終了の日から3年以内に職員としての身分を失った場合は経費を返還しなければならないとされている。
この他の自治体においても大学院の派遣研修を実施しているところは数多く存在するが、自治体があくまでも研修の一貫で実施している以上、研修終了後の人材活用が重要な点である。研修修了者を積極的に実際の政策形成現場へ登用することがこの制度においてなによりも重要なポイントである。
また、自治体職員が仕事を続けながら個人の意志で高等教育機関に入学する。場合も考えられる。従来、このケースは、通信教育か夜間に授業が開講される大学の学部レベルのものに限られていた。しかし1989年の大学院設置基準の一部改正により、いわゆる「夜間大学院」や「昼夜開講制大学院」が認められ、大学院レベルにも進学可能性が生じてきた。現在設置されている「夜間大学院」や「昼夜開講制大学院」のうち、政策科学や自治体に関連が深いものがいくつか存在する。
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